『TikTok 最強のSNSは中国から生まれる 』がお勧めな理由を3つ書いた #tiktok本

中国関連本

「5期連続ダウンロード数1位」「10億ダウンロード突破」など、景気の良いニュースが飛び交うTikTok。

TikTokがiOS App Storeで5期連続のダウンロード数トップ | TechCrunch Japan
TikTokはApple App Storeのダウンロード数ランキングで5四半期連続でトップの座を守った。Sensor Towerの最新レポートでわかった。
TikTok、10億ダウンロードを達成--年間ダウンロード数でFacebookに迫る
音楽に合わせて口パクした動画を友人と共有するソーシャル動画アプリ「TikTok」の「iOS」と「Android」版を合わせたダウンロード件数が、このたび10億件を超えたことがわかった。

TikTokを運営しているバイトダンスの中国本社で勤務しており、 #中国トレンド情報局 で中国情報を積極的に発信しているこうみく(黄未来)さんが書いた解説本がついに出版されたので、今回はその感想など書いてみようと思います。

これ大事:中国で書かれた本の翻訳じゃない

TikTokは「中国」と「それ以外(グローバル)」で、大きく機能が異なるアプリが提供されています。具体的には「抖音(中国)」と、「TikTok(グローバル)」という2つのアプリになるのですが、この両アプリでは「抖音」の方が機能実装が進んでいます。

例えば、グローバル版の「TikTok」は現時点ではショートムービーの投稿のみですが、中国の「抖音」ではライブ放送が行えたり、動画と連動してEC機能が付いていたりします。これはTikTokに限らず、多くの中国アプリに共通する特徴です。

中国産のアプリを日本からダウンロードしても、通常の画面と異なったり、機能が使えなかったりする。つまり、中国から日本に持って帰ってこようとしても、うまく再現できないのですね。それでいて、国外からも上手に機能を取り入れてくる。
引用:『アフターデジタル』主著者 藤井保文と考えるこれからの10年|オフライン消滅後の世界を占う中国最新事例

本書では、機能実装が先行している「抖音」、そして「抖音」が国民的アプリとして親しまれている中国の現状をヒントにしながら、日本を中心に「TikTok」や「世界のインターネット動画やSNS文化」がどうなっていくかを考える、という形を取っています。

こうみくさんは現在は北京にあるバイトダンス本社で働いていますが、つい数年前まで日本に住んでいたので、日本のインターネットの近況にも詳しい。なので、中国の「抖音」と中国のネットしか知らない人が書くよりも、断然日本ユーザー向けの内容に仕上がっています。

本の中では「日本で行われたTikTokのマーケティング施策例」がいくつか紹介されているんですが、AbemaTVとの連動企画なども詳しく紹介されていて、日本のネットに触れている方にとては、かなりイメージしやすい内容になってると思います。

具体的な事例と、それを抽象化したまとめの組み合わせ

言葉にすると平凡なんですが、具体例と抽象概念の並べ方がきれいでスッと頭に入ってきやすいです。意外と事例紹介で終わったり、逆に具体的な話がなくてイメージしにくかったりという本も多いので。

人によって響くポイントが違うと思いますが、自分に響いた点を1つだけ紹介しておきます。

広告の概念のアップデート

11月11日の「ポッキーの日」を事例として、YouTubeとTikTokでの広告について紹介しています。

本の中で紹介されているりょーけんさん(TikTokのタレントプロダクションを運営)の説明を引用します。(ちょっと長い引用になりますがとても分かりやすいのでご容赦を)

僕の世代(26歳)くらいだと、ポッキーの日と言えばガッキーの日でした。走り回るガッキーを見て感激し、次の日に学校で友達と「ガッキーやばくね?とりあえず帰りにポッキーでも買う?」ってのが一連の消費行動。

一方TikTok世代は、ポッキーの日のキャンペーン動画をTikTok上で見て「あ!そろそろポッキーの日じゃん。うちらどんな動画投稿する?あ、これとかおもしろくない?」と友だちで話して、動画を制作する日なんですね。

ここで、消費行動は体験の中に完全にラッピングされています。ポッキーの日はガッキーの日ではなくて、友だちと楽しく動画を投稿する日。そしていろんなユーザーが工夫をこらして撮っている動画を見ながら、世間と一緒に楽しむ日

たとえヒカキンがポッキーの宣伝をしても、ファンは買うかもしれませんが自分たちも動画を投稿しようにはならない。良い悪いではなく、Youtubeは結局テレビのインターネット版、つまり1:Nのマスメディアだということです。

「プロデューサー兼タレントのヒカキン」が、「自分の看板番組であるヒカキンちゃんねる」を運営していて、ファンはその番組とヒカキンを見に集まっている構図ですね。TikTokはN:Nのコミュニケーションであり、要素としてはSNS寄りです。
引用:TikTokについてよくわからない人のために、考察まとめ記事を書いてみた。

ガッキーやヒカキンのスペシャル動画であればまだ嬉しいかもしれませんが、全ての広告がそうではありません。YouTubeは動画再生前や途中に動画広告を差し込んでいますが、5秒でスキップ機能が付いていることからも「広告は邪魔なモノ」として扱われています。しかし、TikTokの参加型のキャンペーンはそうではない。

こうみくさんは本の中で「TikTokは広告を忌避されるものから、ユーザーに楽しんでもらい、喜んでもらえるものへと変えようとしている」と書いています。この辺りの感覚は自分も身体で理解してないところもあるので、引き続き気にしていきたいと思います。

脚注がしっかりしてる&参照元を見に行きたくなる

ここは出版元がダイヤモンド社というのが効いてるのかもしれませんが、脚注がしっかりしてる。関連情報など追いかけたい派の自分としてはこれは非常にありがたかったです。

(後ろでまとめてではなく)本文中に差し込まれる脚注の入れ方や、ネット記事もガンガン差し込んでいくスタイルは、ネットサーフィン的というか古き良きインターネット的だなぁと思ったりしました。

まとめ&関連記事・書籍

以上、この本がお勧めな理由を3つ挙げてみました。個人的には、本を読んで勉強になったなーで終わりでは無くて、「中国と日本のTikTokをもうちょっと触ろう(見るのも投稿するのも)」とか、「脚注で紹介されてる記事を読みにいく」とか、次のアクションに繋がってるのでとても良い

日本の事例、中国の事例、中国のIT企業の動向など様々な視点で情報が整理されているので、「中国ITに興味がある人」「動画(TikTok)に興味がある人」「マーケティングに興味がある人」などには有用な本になってると思います。

(おまけ)

最後に、TikTokを考える上での関連記事や書籍を。

【ITニュースで学ぶテック中国語】001:抖音(TikTok)を活用したECマーケティングサミット開催報告
「TikTokを活用したECマーケティングサミット」について。これからのECは「人がモノを探す時代」から「モノが人を探す時代へ」と移り変わっていくという、大きなトレンドの変化について紹介

中国で行われたTikTokマーケティングのカンファレンスレポート記事を要約したものです。書籍内で紹介されてる「検索からレコメンドへ」についてや、それがECマーケティングに与える影響について書いてあります。

・ECのマーケティングは、ECプラットフォーム内に留まるのではなく、全領域に目を向けるべき
・今後のECは「人がモノを探す」のではなく「モノが人を探す」のが主流になる
検索で能動的に発見されるものより、リコメンドで受動的に発見されるものの方がはるかに市場が大きい
・TikTokはその商品やコンテンツを求めている人を探す能力(=パーソナライズ、リコメンド)が極めて高い

【ITニュースで学ぶテック中国語】002:中国ネットエンタメ企業の動向分析(業界動向編)
「中国のネットエンタメ企業の激しい戦い」について。今回は前半の「中国ネットエンタメ業界の動向」について紹介

中国のエンタメ企業を分析した記事を要約したものです。TikTokを中心としたショートムービーが他のエンタメ企業にどんな影響を与えているかが書かれています。

YouTubeの中の人が書いた書籍。実はまだ読めてないのですが、今回の本と比較しながら読みたいと思ってます。

YouTubeトレンドカルチャー分析部門のヘッドマネージャーが歴代バズ動画と拡散プロセスをよみときながら、「動画コミュニケーション」の今と未来を伝える最前線からのドキュメント。(書籍紹介より)

・スマホは画面サイズだけでなく「映像コンテンツに触れる時間単位」を小さくした
・動画はテキストに比べて「情報の時間密度(IPT:Information Per Time)」を高められる

など、今と今後の動画動向を考えていくうえで重要な概念がいくつも書かれています。