特許情報を分析したら何が分かるのか ~テンセントとシャオミを例に~

中国テック雑記
テンセントとシャオミの2016年中国出願から、特許分類ごとの件数を調べたものから抜粋

先日、テンセントとシャオミの特許出願傾向をざっと見る機会がありました。下記は特許出願データをまとめたものの一部なのですが、今回はこの内容をベースに「特許分析」の仕事についてほんの触りだけ解説してみようと思います。

テンセントとシャオミの2016年中国出願から、特許分類ごとの件数を調べたものから抜粋

テンセントとシャオミの2016年中国出願を見比べてみた

本記事で書いていく内容、だいたい下記の流れです。このあと、各ツイートについて補足する形で記事を書いてみようと思います。

分析の前提があってるか確認するためザックリ分析する

ここでやった作業は(大事なことですが、ここは作業です。解釈とか不要で、データを集めて事実を明らかにする)、

・特許のデータベースから「出願人(テンセント/シャオミ)」「中国の特許」「出願日時」で2016年の両社の中国出願特許を検索
・検索結果をスプレッドシートにまとめて、関数を使ってどの技術分野にどれだけ出願しているかを計算

だけです。

上のツイートに添付した画像は、そこで整理したデータの一部を抜粋したものですが、企業の事業戦略と特許出願戦略は基本的には紐づいているので、テンセントはゲーム、シャオミはスマート家電(IoT家電)と両社が力を入れている事業に関する出願が多い結果になります。

ここで何か違和感を感じるようなら儲けもので、それはそれで別途分析してみる価値があります。例えば、シャオミがスマホだけの会社だと思い込んでたら家庭用設備の出願がなぜこんなに多いか最初は分からないかもしれません。そのときは該当する技術分野の特許を何本か読めば、シャオミがスマート家電をやっていることが理解できると思います。

データを分析するだけで魔法のように有用な仮説が出ることはありませんが、自分が持っていた仮説が正しいのか間違っているのかを確認することはできます。

マクロな分析で得た情報から解像度を上げて、いろんな視点で調べてみる

ここからは実際の作業としてはやってなくて仮設定での解説です。前提としてる状況を確認したうえで、改めて問題設定する感じです。

たとえば、シャオミがスマート家電に力を入れていると今回初めて知ったのであれば、いつ頃から特許出願増えてるのか調べてみるのもいいと思います。

あとは、ライバル会社(スマートスピーカー作ってるAmazon、家電作ってるパナソニックなど)と件数を比べたり、発明者にどんな人がいるか調べたり、いろいろ調べることはできます。

ここで大事なのは、

・調査の切り口はいろいろある(既知の切り口もあるし、オリジナルな切り口も作れる)
・どの切り口で分析するかは目標次第

ということです。

特許分析は目標設定が命

分析の目標設定

これは所属企業やクライアントの戦略次第なので、自分で決めるしかないです。

「特許出願を増やしたい→競合企業と出願数比較して経営陣にアピールする」は間違ってない動きだと思いますが、「分析してみたら競合他社の方が出願が多かった→特許出願を増やそう」はちょっと違うかなという気がします。

戦略なしに既存の切り口使って分析すると後者のようになりがちなので注意がいると思います。目標というか課題設定といった方が正しいかもしれません。

目標を達成するための分析内容作成

分析に使用する母集団をどう取得するか、それをさらにどんな条件で検索するか、などです。

最近はビッグデータだ、ディープラーニングだ、と大量のデータをぶち込めば思いもよらなかった切り口(課題設定)で結果が出てくると思ってる人も多いですが、課題設定自体は今でも人間が行って、その後に行われるこのプロセスがAIに切り替わっていくのではと思っています。

出てきたデータを正しく読み、必要に応じてさらに目標設定

例えば、「スマート家電の出願増えてると思ってたらそうでもない」という状況が分かったとして(これは事実)、次に何を調べるか(これは課題設定)です。

上の結果を受けて

・あの会社はスマート家電の出願が減っています→事実
・その代わりに◎◎の分野の出願が増えています→注力分野が変化したかも
・スマート家電の有力発明者が◎◎の分野で発明出してます→注力分野が変化したかも

といった仮説を考えて、特許以外の情報なども使いながら仮説の精度を確認したり、その対策を考えたりを進めていく形になります。

まとめ

以上、テンセントとシャオミの特許データをもとに、特許分析について思うことを書いてみました。業務で特許分析をしている方、特許分析に興味がある方などの参考になれば嬉しいです。